フィルムカメラが主役のような会場で、私たち親子が探していたのはデジタルカメラだった。
中古カメラ展というと、やっぱりフィルムカメラが強い。ライカだったり、昔のニコンだったり、オリンパスだったり。そういうカメラを目当てに来ている人も多い。
ところが私たち親子は、二人ともデジタル派だ。
息子が探していたのはOM-1。会場の隅のほうに何台か並んでいた。
少し前まで息子が撮りたがっていたのは電車だった。それが最近は飛行機に変わった。姉が航空会社勤務になったのをきっかけに、飛行機に興味を持つようになったらしい。
OM-1はAI被写体認識AFで飛行機やヘリコプターにも対応している。飛行機を撮りたい息子が気になるのも、なるほどと思う。
ただ、中古とはいえ、まだ結構いい値段がする。
何台か見比べて、今回は見送ることにした。
私はEOS 7Dが気になった
私はというと、LUMIXのマイクロフォーサーズのボディを見たり、M.ZUIKO DIGITALのレンズを眺めたり。
そして、ちょっと気になったのがEOS 7Dだった。
2009年発売のカメラだから、もうずいぶん古い。当時は約1800万画素のAPS-Cセンサーと最高約8コマ/秒の連写を備えた、ハイアマチュア向けのモデルだった。
今の基準で最新でも高性能でもないけれど、私がやりたいことには十分なんじゃないかと思う。
それに、家にはEF-Sのレンズが何本か残っている。
最近のキヤノンならEOS Rシリーズということになるのだろうし、フルサイズも魅力的だ。でも、ボディもレンズもなかなかのお値段になる。
そこまで行かなくてもいいんじゃないか。
手元にあるレンズを古い7Dにつけて、旅行に持っていく。それだけでも、写真の世界はもう一度少し広がるような気がする。
スマホでも撮れる。でも、何かが違う
スマホでも写真は撮れる。
というより、普通に撮るだけならスマホのほうが圧倒的に楽だ。いつでもポケットに入っているし、画素数も高い。撮ったその場で加工もできる。
それでも、カメラで撮ったポートレートには、やっぱりいいなと思う瞬間がある。
背景がきれいにボケて、人の表情が浮かび上がる。
スマホでも後から背景をぼかすことはできる。でも、何かが違う。
レンズを通して見ながら、立つ場所を少し変えたり、背景との距離を考えたり、ここだと思ったところでシャッターを切ったり。
出来上がった写真だけではなく、そうやって撮ったことまで含めて、あとから思い出になるのかもしれない。
息子が見ていたソウル
そんなことを考えていたら、少し前に家族で行ったソウル旅行のことを思い出した。
ソウルにあったKodakのアパレルショップで、息子が小さなトイデジカメを買った。
本当に小さなカメラだ。
画質だって、今のスマホとは比べものにならない。
ところが旅行から帰って、息子が撮った写真を見せてもらったら、これが妙によかった。
画素は粗い。
でも、ソウルの通りがあって、街を歩いている私の後ろ姿があって、何でもない風景が写っている。
自分では撮れない写真だった。
考えてみれば当たり前で、自分が撮る写真に、自分の後ろ姿は写らない。
同じ旅行をして、同じ道を歩いていたのに、こんなふうに見えていたのかと思った。
画素の粗さも、不思議と嫌ではなかった。
むしろ少しざらっとした感じが、記憶みたいでよかった。
残しておきたい写真は
中古カメラ展では、どうしてもスペックを見てしまう。
OM-1ならどうだ、7Dならどうだ、センサーは、連写は、レンズは、と。
カメラを買うのだから、それは当然だと思う。
カメラを買うときは性能を見る。でも、あとになって残しておきたいと思う写真は、性能とはあまり関係がないのかもしれない。
ソウル旅行でそれを教えてくれたのは、最新のフルサイズでも、高級レンズでもなかった。
息子がKodakの店で買った、小さなデジタルカメラだった。
だからといって、カメラなんて何でもいい、という話でもない。
息子はやっぱりOM-1が欲しいし、私も中古の7Dを見ればちょっと欲しくなる。
たぶん次に中古カメラ展へ行っても、またスペックを調べながらあれこれ眺めてしまうと思う。
それも含めて、カメラは楽しい。
ただ、次の旅行から帰ってきたとき。
私が見たいのは、たぶんスペック表ではない。
息子のカメラに、今度は何が写っているのか。
そっちのほうが、少し楽しみになっている。
- OM SYSTEM「OM-1 製品特長 — 高速性能」(AI被写体認識AF)
- キヤノン「EOS 7D」ニュースリリース(2009年9月1日)


コメント