あなたの「好き」は操られている?中1で大ショックを受けた筆者が教えるブルデュー『ディスタンクシオン』超入門

読書
【ハビトゥス(habitus)】
個人の過去の経験や環境によって無意識に形成された、知覚・思考・行動のパターンのこと。

皆さんは、ふだん自分の意志で「これが好き!」と選んでいますよね。さらに、好きなアーティスト、よく見るYouTube、ファッション、ハマっているゲームなどを、ディスタンクシオンの観点から選ぶこともあります。

ところが、フランスの有名な社会学者であるピエール・ブルデューは、ディスタンクシオンを示すとんでもない事実を突きつけました。

それは、あなたの『好き(趣味)』が自分で選んだものではなく、育った環境で決まっているという事実です。 この点はディスタンクシオンの観点からも示唆を与えます。

「え、私の推しは私が選んだんだけど!?」と思うかもしれません。
ブルデューが書いた超有名な本 『ディスタンクシオン』(日本語で「区別」という意味)をもとに、この不思議な仕組みを分かりやすく紹介します!

1. 『ディスタンクシオン(区別)』ってなに?

人間には、無意識のうちに「自分と他人のあいだに線を引いて、区別したがる」というクセがあります。

学校やSNSで、こんな風に思ったことはありませんか?

  • 「あいつらが聴いてる音楽ってなんかダサいよね。私たちのほうがセンスいいし」
  • 「あのグループの服の趣味、自分たちとは合わないな〜」

このように、自分の趣味を通して「自分たちのほうが上(または別物)だ」とアピールすることを、ブルデューは『ディスタンクシオン』と呼びました。

つまり、趣味はただ楽しむためだけではなく、「私はアイツらとは違う」という見えない壁(マウント)を作る道具になっているんです。学校の中で「グループ」が分かれるのも、実はこれが原因だったりします。

2. 趣味の裏にある「3つのヒミツ」

では、なぜ「育った環境」で趣味が決まってしまうのでしょうか?ブルデューは3つのキーワードで説明しています。

① 文化資本(ぶんかしほん)= 見えない「お宝」

お金だけでなく、「知識、マナー、言葉遣い、映画や音楽のセンス」も、実は立派な「資産(お宝)」です。これを文化資本と言います。
小さい頃から家に本がたくさんあったり、美術館やクラシックのコンサートに連れて行ってもらったりした人は、自然とこの「見えないお宝」が体に貯まっていきます。

② ハビトゥス = 体に染みついた「初期設定」

育った環境のなかで、無意識に身についた「行動や好みのクセ」のことです。
「なんとなくこれが落ち着く」「こういう言葉遣いが自然だ」と感じる、あなたの中の“初期設定”のようなもの。あなたが「自分で選んでいる」と思っている好き・嫌いも、実はこのハビトゥス(初期設定)に操られているんです。

③ 趣味の分断 = 「むずかしい」か「わかりやすい」か

ブルデューは、立場(育った環境)によって好みがハッキリ分かれると言いました。

  • お宝が多い環境で育った人:すぐには意味が分からない「難しいアート」や「歴史のある音楽・映画」をじっくり味わうのを好みます。
  • ふつうの環境で育った人:パッと見てすぐ楽しい「分かりやすいエンタメ(アニメやポップス)」や、生活に「役に立つもの」を好みます。

💡 筆者の体験談:中1で味わった「都会の家」での大ショック

実は、この記事を書いている私も、中学1年生のときに「田舎から都会」へ引っ越しをして、ものすごいカルチャーショックを経験したことがあります。

初めて都会でできた友達の家に遊びに行ったとき、文字通りフリーズしてしまいました。

  • 見たこともないオシャレな家具やインテリア
  • 部屋に飾られた本格的な「鉄道模型」
  • ガレージに停まっている、お父さんの外車(高級車)

それまで田舎で付き合ってきた友達の家とは、世界のすべてが違っていて、「なんだこの格差は……」と激しく戸惑いました。これこそが、まさにブルデューの言う「文化資本(見えないお宝)」や「ハビトゥス(初期設定)」の圧倒的な違いだったのです。

でも、私はそこで「どうせうちは…」と諦めませんでした。
「自分も大人になったら、絶対にこんな暮らしがしたい!」と猛烈に憧れ、それをバネにして、その後の勉強や就職活動をめちゃくちゃ頑張りました。

「努力すれば、生まれ持った初期設定なんて変えられるはず!」

そう信じていたんです。……しかし、ブルデューはこの後に、さらに残酷な「社会のヒミツ」を突きつけてきます。

3. なぜこれが「格差(ずるさ)」につながるの?

ここからが一番大切なポイントです。

幼い頃からリッチな環境で文化資本を多くもらった人は、有利になります。

学校のテストや面接で有利になり、ディスタンクシオンが影響します。

恐ろしいのは、周りの人がそれを見て、
「あの人は生まれが良いからじゃなくて、本人の努力やセンスがすごいから優秀なんだ!」
と勘違いしてしまうことです。

その結果、どうなるかというと……

  1. 環境のおかげで、自然と「上品な趣味や教養」が身につく
  2. 学校や社会で「あいつは優秀だ」と褒められる
  3. 良い仕事について、また自分の子どもに同じ環境をプレゼントする

というループが生まれ、不平等がずっと続いていくことになります。ブルデューは、「趣味の好みの違い」が、この不平等を隠すための“隠れみの”になっていることを見抜いたのです。

まとめ:自分の「好き」を振り返ってみよう!

  • 趣味は、他人と自分を「区別(ディスタンクシオン)」する道具になっている。
  • 生まれ育った環境(ハビトゥス)が、あなたの「好き」を操っている。
  • 趣味の違いが、社会の「見えない格差」をキープし続けている。

次に「これってダサいよね」「これって高級感あるよね」と感じたときは、ちょっと立ち止まって思い出してみてください。

「これは本当に自分の心からの声? それとも、育った環境が言わせてるだけ?」

そう考えてみると、いつもの学校の教室やSNSの世界が、少し違って見えてくるはずです!


おまけ:もっと深く知りたい人へ!おすすめリンク集

「ブルデューの話、ちょっと面白かったかも!」と思った人のために、さらに分かりやすく学べるおすすめのサイトや動画を紹介します!

1. 図解でサクッと分かりたいならコレ!

2. 日常の「あるある」と重ねて読みたいなら!

3. 動画でじっくり学びたいなら!

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