民主主義の防衛

政治ネタ

日経から来たメールのテーマがなかなか刺激的だったので転載します。映画みたいな戦いが我々には見えないところで行われていて、日本も全く蚊帳の外ではないという現実があるんですよね。知らずに過ごせるのは本当に幸せ。日経の分析力、コンテンツ力には驚かされる。政治的偏りが少なく、国際情勢にも敏いのでとてもありがたい情報源です。

「民主主義の防衛」とは

今週開かれたミュンヘン安全保障会議でバイデン米大統領が「民主主義を防衛する」と表明しました。中国やロシアにより自由や人権、国境までも脅かされていることを意識し、先の北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会も同盟国の結束を強調しました。

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ロイター

これは軍事面に限ったことではありません。各国選挙への介入、ネット上の情報操作やサイバー攻撃、政財界の要人の取り込み工作など、目立つのは民主社会に対する非軍事的な攻撃です。ハードパワーやソフトパワーで欧米に劣るロシアは「ダークパワー」とも呼べる工作活動で民主社会を侵している――。ロシアと欧州での取材をもとに書いた「破壊戦~新冷戦時代の秘密工作」という本で私はそんな結論に至りました。

中国もロシアをなぞるような動きに出ています。特に新型コロナウイルス感染拡大後、米国を攻撃する偽情報を拡散したり、オーストラリアなどに対しては経済的な圧力を加えたりしています。中国には情報分野、貿易や金融、サイバー空間まで戦場ととらえる「超限戦」という造語もあります。米国に次ぐハードパワーを持つ中国がダークパワーも駆使するようになれば、衝撃は計り知れません。

ロシアの米大統領選への介入によって、情報工作やサイバー攻撃への警戒は強まってきましたが、各国に流れる不正資金と政財界の取り込み工作も意識しなければなりません。

例えば、2020年7月に公表された英国の「インテリジェンス安全保障委員会」の報告書は、ロシアのプーチン政権に近い財閥の不正資金が流れ込み、英国のエリートに影響力を及ぼすために使われていると告発しました。英国には年1000億ドルともいわれる資金が洗浄されて流入している現実があるのです。

英王立国際問題研究所(チャタムハウス)も24日のテレカンファレンスで初めて「汚いカネ」の脅威を正面から取り上げました。

猛毒を盛られたロシアの反体制政治家ナワリヌイ氏の拘束を巡って欧州連合(EU)は新たな対ロ制裁の発動を決めましたが、対象は司法当局者らに限られ、「汚いカネ」の取り締まりには踏み込んでいません。これまでも度重なる選挙への干渉やサイバー攻撃に際し、思い切った金融制裁に動かないのは、汚いカネに潤うビジネスへの配慮が見え隠れします。

「民主主義の防衛」は内なる敵との戦いでもあります。

 

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